甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
ああ、眠い。鏡を覗くと目の下にうっすらとクマが出来ていた。

『ひどい顔』

重い足どりでキッチンへ行くと、居候の匠(たくみ)が座ってコーヒーを飲んでいた。

「早いじゃない? と言うか、また朝帰り?」

「まあね。裕子もコーヒー飲む? 煎れてやるよ」

「そうね、眠気覚ましにもらおうかな」

匠は立ち上がると私をじっと見つめ、頭をそっと撫でた。

「なに?」

「寝癖ついてる。夕べは遅かったのか?」

「少しね」

「あ、そうだ、裕子」

「なによ? というか『お姉さん』と呼びなさいって、いつも言ってるでしょ!」
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