[君の秘密]
[…うん]

俺は力なく答える事しか出来なかった









[だからお前と直人がここに来た時直人もその事知ってて「ばらされたくなかったら~」とか言ってくるかと思ってたんだよ]



笑いながら言うあいつ



[…でも]



[直人のあの様子じゃ
知らないんだなって、思った]



さっきとはうって変わって
切なげな顔をした





[…高橋、ごめんな]


[…なにが]


[この事実を知っちまって、だよ。…だってお前も、好きなんだろ?…麻耶の事]







[…なんでそうなんだよ、
俺が黙ってた理由は…]

[…麻耶を傷つけたくないから、だろ?
それに、お前見てればわかるって]


[…え]




俺はずっと床を見つめていた顔を
あいつの方に向けた




[お前の麻耶を見る目。授業中も、授業プラン話してる時もお前、ほとんど話聞いてないだろ?麻耶ばっか見てて。]


そう言いながらあいつは
煙草に火をつけた


[その目。ただ綺麗な女を鼻のした伸ばして見つめる野郎共とは違う、「愛おしい」って思ってる目だった…あれは…]



そう言われて俺は
無性に恥ずかしくなり
また顔を床にむけた

それと同時に
こいつには叶わない…
それと
あいつが続きに
[俺と一緒だ]
そう言いたげな顔をしている事も
痛いくらいにわかってしまった





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