[君の秘密]
[大人のくせに理性ねーって、思ったろ?…俺自身も思ったよ。こんなに自分が、抑えられないなんてな。]


苦笑いしながら言うあいつ

その笑みの向こうには
少しだけだが、
[罪悪感]の文字が見えた気がした



[逆にさ、お前とか直人。
すげーと思うよ]


[は…?]


[だってさ…毎日毎日麻耶と同じ教室いて…好きなんだろ?]










好きだからって、
俺たちはあんたみたいに
毎日話せる訳じゃない





[だからさ…
俺って高校生より自制心ねーのかもって]












[…俺たちは、あんたみたいに
白石麻耶に近くないから……。]


俺の言葉に反応したのか
まっすぐな目で俺をみるあいつ


[俺たちは…少なからず俺は…
見てるだけで…十分だった…]


[…そっか。]







-キーンコーンカーンコーン






この話は終わり。
そうとでも言うように予鈴が鳴った




[…じゃあ俺、教室行くんで]


俺が椅子から立ち上がった瞬間


[高橋]


俺は無言のままあいつを見た



[…ごめんな]





俺はなにも答えなかった



ガラガラ…ピシャン



資料室のドアを閉め
俺は教室へむかった








ごめんなってなんだよ
俺のでごめんとでも言ってんのか?

別に俺は君が、白石麻耶を
手に入れたいわけじゃない
ただ…


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