[君の秘密]
そう言って
あいつは少しうつむいた


俺はあいつの表情が

目の前にいるひとりの男の心情と
君の気高さを物語るかのように

切なく伝わってきているのが
嫌でもわかってしまった



[……なんで、そんな事
…俺に頼むんだよ…。]

俺に…君への感情があることは
この男は知っているはずだ

それなのになぜ…
この男はこんな事を言うのだろうか








[…それはさ]

あいつはまた煙草に火をつけ
深く息を吸った


[おまえが…麻耶の事、想ってるから…見てるから…頼みたいんだよ]


白い煙を吐いた後
俺の顔を見ながら
少し、微笑みながらあいつは言った

その微笑みは
どこか切なげで
悲しそうにも思えた




[おまえは…俺より理性も、あるだろーからな…]


そう言って
煙草を口にくわえたまま
あいつは教官席に座り
窓の向こうを見た














24の男を
これほどまでに引きつけ
悩ませ、愛おしくをも想わせる君は
俺が知っているよりずっと
魅力的なんだ
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