[君の秘密]
男は体育館倉庫を後にした












俺は君をみる事が出来なかった


君が涙を流しているからじゃない


君の目の前で
まるで君と俺が付き合っているかのように
口にしてしまった事が
なによりも恥ずかしくて仕方なかった














[‥‥高橋くん]



君は今にも消えてしまいそうな声で
俺の名を呼んだ



俺はなにも言わずに
君に目をむけた





























[‥‥ありがと、ね]














君は頬に流れた涙を拭う事なく
力無い笑みを浮かべそう言った















その表情をみた瞬間
俺の中のなにかが音をたてて切れた気がした
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