‡幼なじみ‡
部室には、背もたれの無いベンチ式の5人掛けソファーがある。
ソファーに座ると、姫野が持って来た氷をソッと後頭部へ当てた。
「ッ…。」
「ごめんね。痛いよね?」
「いや、大丈夫だ。」
「葉山、保健の渡辺先生に連絡したら、今から部室に来てくれるそうだから診てもらえ。悪いが、俺は練習に戻る。桜、後は頼んでいいか?何かあったら、呼んでくれ。」
「はい。」
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「はい、はい。葉山君はどんな感じ?」
「渡辺先生、すみません。わざわざ、来て頂いてありがとうございます。」
「あぁ、桜さん。後頭部打ったんだって?」
「はい、氷で冷やしてますが、コブが結構大きくて…。」
「どれどれ?ん〜。本当ね。葉山君、気分は?吐き気、目眩とかは有るの?」
「いえ、今は無いです。さっき、ぶつかった直後はクラクラしましたけど。」
「そう、分かったわ。葉山君、私の指を目で追ってみてくれる?」
先生は、人差し指を俺の前に出し、左右、上下に動かした。
俺は、先生の指を目で追った。
「CT撮って見たわけじゃないから、断言は出来ないけど、吐き気も目眩も無いし、目の動きも正常だから問題は無いと思うわ。心配なら一応、病院に行って診てもらいなさい。」
「はい、ありがとうございました。」
「いいえ。お大事にね。」
「金澤先生に報告してくるね。莉紅は、休んでて。」
「あぁ、頼む。」
姫野が、部室から出て行って直ぐ、桐原が来た。