‡幼なじみ‡
桜姫野…。
女子バスケ部に、桜姫野が入部していた。
お姫様。
美しいと言う言葉がぴったりな綺麗な顔。
サラサラツヤツヤの髪。
大きな瞳。
真っ白な肌。
スラリと伸びた手足。
女の子なら誰もが羨むような、容姿。
なのに全然、気取らず素直で純粋な性格。
こんな、完璧な人間がいるの?と思うくらい。
莉紅とは、幼なじみらしくて2人はとても自然に一緒にいた。
2人が並んでいると、その場所だけが別世界のようにキラキラ輝いて見えた。
莉紅に対する想いは、憧れだった。
アイドルを好きになるような気持ち。
それが、アイドルでなく男の子として好きになった瞬間があった。
私は、1年生ながら2年生の先輩を差し置いて、試合に出させてもらっていた。小学生の時、ミニバスに入っていたのである程度の基礎が出来ていたし、上手くなりたいという強い気持ちを先生は気付いてくれた。
4クォーター残り10秒、ゴール近くにいた私にパスが入った。
私は、パスをキャッチしてドリブルしてレイアップシュートを決めようとスピードを上げた。
シュート!!少ない残り時間、これを決めれば逆転。
もの凄いプレッシャー…指先が震える。
…ボールはボードに当たりいつもとは違う軌道で跳ね返った。
ボールはリングからこぼれ落ち、シュートは入らなかった。