‡幼なじみ‡



試合終了。


私が出た為に、外された2年の先輩が『あんなノーマークのシュート外すなんて。負けたのは、あんたのせいよ』と罵られた。



悔しくて、情けなくて…先輩の言ってる事は間違ってない。
言い返せなかった。


会場の隅で、悔し泣きをしていた私に、声を掛けてくれた男の子がいた。


『残念。おしかったな。』

驚いて顔を上げると、すでに歩き出して背を向けていた莉紅だった。


その瞬間、莉紅に恋をしたんだ。


きっと、莉紅は覚えていないだろう。
こんな、些細な出来事なんて。


でも…私にとって、大切な思い出。
初めての、恋の始まりの瞬間だった。






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