‡幼なじみ‡


淡々と、その行為だけをした。


キスもしない。


何の感情も無い行為。


それでも、私は嬉しかった。
ずっと、好きだった人に抱かれたことが。


嫌な記憶を消してくれそうな気がした。


莉紅はシャワーを浴びて、帰ろうとしていた。


……一度遊んだ女とは、二度と会わない……。


もう、会えない?


そんなの嫌。


やっと近づけたのに。


これで終わりなんて…。


嫌。


私は、今までの想いを伝えた。あなたが好きなの!!


莉紅は、あからさまに顔を歪ませて、言った。


分かってて、誘って来たはずだろう、お姉さん、と。

私は、嘘を暴露した。
年上ではなくて、同じ年だと。
セックスをするのも初めてだと…。
…そう、あれは暴力だ。
好きな人に、抱かれるのは初めて。
嘘じゃない。



そんな、私の言葉を無視して莉紅は部屋を出て行った。


諦めない。


何度も、待ち伏せをして話し掛けた。


でも、莉紅は完全に、私を無視した。



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