‡幼なじみ‡


夏休みも残り少なくなって来た。


私は突然、腹部に激痛が襲い、気を失った。


お母さんが、慌てて救急車を呼んで病院で検査をして妊娠していることがバレてしまった。


すぐに、中絶手術が行われて私のお腹の中から、子供が消えた。


何の感情も湧いて来ない。
ただ無力感に襲われた。

父親の分からない子供。

それでも、私のお腹で確かに息づいていた。

2ヶ月にも満たない期間だったけど、私は母親だった。

でも、現実感がなくて夢の中の出来事のような感覚。

抜け殻のような私を、心配した両親はおばあちゃんの家に私を住まわせる事にした。


お母さんと私は、1年半おばあちゃんの家で過ごした。

お父さんは、仕事があるために、ひとり家に残った。

忙しいはずなのに、お父さんは週末になると、お土産を持って会いに来てくれた。



心も身体も、元気を取り戻していった。


友達も出来たし。


自分でバスケをするつもりは無いけど、マネージャーとして部活にも入った。





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