‡幼なじみ‡
午前中は、いつもの基礎練に加えゲーム形式でフォーメーションの確認をした。
5人一人一人が、自分の役割をきちんとこなし自分達のペースを崩さない、オフェンス.ディフェンスを徹底する。
最初の出だしは、良い感じだった。
ペースを崩したのは、莉紅。
最近の莉紅は、おかしい。
チームプレーを1番大切にする莉紅なのに、独断的プレーが目立つ。
莉紅の良さが全然、出ていない。
今も、リバウンドを取り、ドリブルで攻め込んで行く莉紅。
ディフェンスが3人ゴール前にいる。
味方のメンバーが、急いで戻ってくる。
莉紅は味方を待たずに、強引にシュートを打とうとしてる。
ここは、無理に行かない方がいい。
上手く行けば、ファールを貰えるかもしれないが、逆に自滅するか悪くすればチャージングを取られてしまう。
莉紅、ダメ!!
そう思った時、桐原さんが叫んだ。
「莉紅!シュート!!」
えっ!?
それも、有りかもしれない…でも、そんなの莉紅のプレーじゃない!!
そこに、絶妙なタイミングで光貴君が切り込んで来た。
今だ!
「莉紅!!パス!!」
思わず叫んでいた。
私の声に反応してくれたのか、莉紅の咄嗟の判断かは分からない。
莉紅が光貴君にパスを出し、シュートが綺麗に決まった。
「姫野、ナイス!!」
「由希…私、余計な事言っちゃた。」
「そんな事ないよ、姫野ちゃん。ナイス判断だよ。」ニコッ
光貴君に、笑顔で言われて恥ずかしくなった。
そんな私を、桐原さんが睨んでいたのも知らず。