‡幼なじみ‡
「……莉紅は覚えてないだろうけど、私も中学の時バスケ部で、1年の時から試合に出してもらってた。ある試合で、私にシュートチャンスがやって来た。その一本を決めれば逆転して勝てたのに…フリーでシュートしたレイアップシュートを外したの。残り時間もなかった。私がシュート外した瞬間、試合終了。私が試合に出たせいで、その試合に出られなかった2年の先輩に私のせいで負けたのよって責められた。何も言い返せなかった。その通りだと思ったから。1人で会場の隅で泣いていた私に、莉紅が『残念、おしかったな』って声を掛けてくれたの。その時よ、私があなたに恋したのは。」
「桐原さん…。」
「桜さん、あなたの事も知ってたわ。莉紅とあなたはすごく有名だった。みんな憧れてたわ。私も、そのひとり。莉紅に近づきたくて、がむしゃらにバスケの練習をした。自分にも他人にも厳しく。でも、そんな私のやり方に我慢出来なくなった同学年の部員が皆、辞めていった。3年の最後の試合は散々だった。
後輩達も、私が邪魔だったのね、試合が終わってすぐに送別会をされて引退した。その頃よ、目標をなくした私が公園で時間を潰していた時、突然知らない男達にレイプされたの。」
「「「「……。」」」」
「そのせいで妊娠したんだね?」
「えぇ、そうよ。暫くすると体調がおかしくなって……信じたくなかったし、怖かった。両親にも言えなくて。家にも居たくなくて街を彷徨いていたら、莉紅の噂を聞いたの。そして、莉紅に近づいて、抱いてもらった。」
「っ……。」
「姫野…。」
「嬉しかった。莉紅にとっては何の感情も無い行為だったのかもしれない。私にとっては、好きだった人に抱かれた事で、汚れた自分が綺麗になった気がした。」