‡幼なじみ‡


「痛た…。何なの!言いたい放題、やりたい放題してくれちゃって!!」


立ち上がろうとしたけど、太股へのダメージが大きかったみたいで、すぐに立てなかった。


「くぅっ。ちょっとは手加減てものをしてくれてもいいんじゃないの?」


やっとの思いで立ち上がり、体育館へと急いだ。


「姫野!!」

莉紅が険しい表情で、私を呼んだ。

「何?莉紅。どうしたの?」
「どうしたの?じゃねぇだろ!何処に行ってた?」

「えっ、先生に頼まれて職員室に。」

「何十分掛かってんだよ。先生、お前が戻って来ねぇって職員室に行ったんだよ。何処にもお前居ねぇし、皆心配してたんだぞ!」

「ごめんね。ちょっとトイレに行ったりしたから。」

「そんなトイレぐれぇで20分もかかんのか!!」

「えっ?」そんなに時間過ぎてたの?気付かなかった。

「えっ、じゃねぇだろ。何があった?」

「何もないよ。ごめんね、心配掛けて。」

「姫野。嘘ついてんじゃねぇぞ?」

「ついてないってば!」


「…はぁ。帰ったら、ちゃんと聞くからな!」

「言うことなんかないよ。」

莉紅が練習に戻る後ろ姿に呟いた。

「私は、大丈夫だよ…。」




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