‡幼なじみ‡


性格なのか、俺は感情をあまり表に出さない。


自分では、普通にしてたつもりだった。


けど、俺のイラついた気持ちに気づいてくれたのは、母親だった。


『莉紅。そのままだと、大事なものを失うことになるわよ。それでもいいの?』

『…………………。』


はっ!!とした。
母さんの言葉を聞いて、怖くなった。


『大事なもの』を失う…。
『姫野』を失う?
………………………。

嫌だ!
耐えられない!!


俺のした事はそういう事だ。


俺みたいな、最低や男が姫野の側にいていいのか?


やってしまった事実は消えない。
後悔しても、戻れない。


どうしたらいい?
姫野の側に行きたい。
でも、今更どんな顔して会えばいい?


俺が、勝手に姫野を避けた。


姫野は、もう幼なじみなんて思って無いかもしれない。


ただの、隣人。


ただの男。


幼なじみじゃなく、ただの男になりたいと、いつも思ってた。


でも、こんな風にじゃない。


他人になりたい訳じゃなかった。



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