‡幼なじみ‡


休み時間ごとに桐原さんは、男子に囲まれ質問攻めにあっていた。
趣味とか好きなタイプの男の子は?とか。
一番多い質問は、莉紅とはどういう知り合いなの?かって。


私も、すごく気になっていて思わず、聞き耳を立ててしまっていた。


桐原さんは、意味深な微笑みを浮かべて『秘密。莉紅君と私だけの秘密。』と答えていた。



『秘密』……。

私は、気付きたく無かった事に気付いてしまった。


2年前の夏休み。


きっと、莉紅と桐原さんはその時に知り合ったんだ。

ズキンズキン……………。

朝の胸のモヤモヤは、今では物凄い痛みを感じて、息が苦しくなってきた。


莉紅の、あの今までに見たことの無い表情を思い出す。
確信してしまった。


やだ。
涙が滲んで来て、私は慌てて教室を出てトイレに駆け込んだ。




< 87 / 165 >

この作品をシェア

pagetop