‡幼なじみ‡
桐原の体験入部の最終日。
拍子抜けするほど、何も無く過ぎた1週間。
桐原は、俺に対して何も言ってこない。
ただ偶然、転校してきただけで俺との事も、何とも思ってないのかと、ほっとしていた。
でも、また俺は罠にかかってしまった。
油断した。
その日、1on1をやっていた。
ドライブを決めてシュートを打ちにいった瞬間、背中を押され体勢を崩し、壁に激突した。
咄嗟に体を丸め衝撃を吸収しようとしたが、勢いがつきすぎていた為、後頭部を思い切りぶつけた。
立ち上がろうとしたが、脳震盪をおこしたようで、目の前がグラついて立てなかった。
クソッ!完全なアンスポじゃねぇか!!
「チッ…。」不機嫌な声を漏らす。
俺を押した、1年の加藤は青ざめた顔をして「すみません!!すみません!!大丈夫ですか?」とオロオロしている。
バタバター、先生と桐原が駆け寄り、腕を支えそっと立たせてくれた。