秘密の恋心〜姉弟の禁断の恋〜
「あら? いないよ、俊君」

「部屋にいると思うわ。呼んでくるから座ってて?」

彩子をダイニングに残し、私は俊の部屋のドアを軽くノックした。
中から返事はない。『部屋にはいないのかな?』
そーっとドアを開けて覗いたら、俊はこちらに背を向け、窓に向かって立っていた。

「俊…」

声を掛けても反応がない。外の景色に見とれているのか、あるいは考え事をしているのか…

「ねえ、俊」

私は俊の背中に近づき、肩をそっと叩いた。

ハッとした感じで振り返った俊は、いつになく真剣な顔に見えた。というか、悲しそうな表情に見えた。

「俊、どうかしたの?」

「ん? 何でもないよ」

すぐにいつもの人懐こい表情に戻っていた。
さっきのは私の見間違いかな?
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