秘密の恋心〜姉弟の禁断の恋〜
その後はお互い無言のまま、マンションへ帰って来た。

俊に続いて玄関を上がり、脱いだパンプスを持とうと腰を屈めた時、目の前がグラっと揺れた。

「あっ」

貧血だ。私は時々貧血を起こす。『私、倒れるんだわ…』

そう覚悟をして目をつぶった時、肩をガシっと掴まれた。

「どうしたの?」

「目眩がするの」

「ベッドに横になる?」

「ううん、このままで、お願い。すぐに治まるから…」

「分かった」

私は俊にしがみつき、目を閉じて目眩に耐えた。
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