秘密の恋心〜姉弟の禁断の恋〜
しばらくして目眩は治まった。

「治まったみたい。ごめんね?」

目を開けて見上げると、心配そうに覗き込む俊の顔があった。

「大丈夫?」

「うん、大丈夫みたい」

「姉貴のその顔、反則だよ…」

「え? 俊? あ、ん…」

俊の顔が近付いたと思った瞬間、私の口は俊の唇で塞がれていた。

『なに? いま私は、俊と何をしているの?』

俊の手が私の背中に周り、ギュッと抱きしめられた。

『ああ、私は俊と、キスしてるんだわ。私のファーストキス。俊とでよかった』

私の手が俊の背中に触れる瞬間、父の言葉が脳裏を過ぎった。

『美雪さえ毅然としてくれれば…』

「止めて!」

俊の背中に周りかけた手で、私は俊を突き放していた。
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