夏、青春











「堂林君かっこいいなあっ!」








「…木下さんちゃん?」
「……やなっ」



教室に入ろうとした時、
有香と友達の話ている声が聞こえてきた。


「有香は堂林君に一目惚れ?」
「うん!かっこいいなあと思った!」
「有香、可愛いけんいけるわ!」
「だったらいいなあ!」


「(何それ 何それ 何それ 何それ !)」
「…最悪でえっ」
「(こっちはそんな軽い気持ち違うのに)」「…あ、千紘!」


千紘はその場から逃げ出した。


「…(あんな子にとられたくない!)」


千紘は泣きそうになるのを必死に
絶えながらトイレに駆け込んだ。
と、その時


「祥太、お前アホだろ(笑)」
「うっさぃわ!」
「食い過ぎ!デブになるぞ」
「うっさいって!ほんま黙れ!」
「祥太が怒った~(笑)(笑)」
「怒ってないわ!」


「(…堂林君っ)…っ」


「なぁ堂林、」
さっき話ていた友達とは違う
野球部の友達が堂林に尋ねた。


「ん?」
「お前スキな奴とか居るん?」
「なな、なんな!相澤!!」
「いや~居るんかなあって」
「まあ、気になる子はおる」
「!木下さんか!」
「んなわけないだろ!
今日転校してきたばっかりぞ!」
「んな、誰?」


「(堂林君…気になる子がおるん?)」
「(木下さんじゃないっ…て言うた)」
「(気になるけど今聞いたら…っ!)」


「まあお前らには秘密やけどな!」
「「はあ?何なそれ~!バカ祥太」」


そう言いながら堂林と友達二人は
渡り廊下を歩いていった。


「千紘!」バァン!
「うわっ!びっくりしたし!」
「聞いた?堂林君木下さん好きじゃない」「うん…聞いたよ」


千紘はさっきの悲しい表情ではなく
嬉しそうに少しはにかんでいた。







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