夏、青春
なんだかんだ言うても
相澤はいい奴やなあっ
ま、堂林君の方が断然
断然、断然、格好いいけどな!
「お前今失礼なこと考えただろ」
「うお!おったん?!」
「相澤、伊瀬さんに失礼だろ!」
「(きゅんっ!)」
「伊瀬今の顔やめたほうがいい」
「黙れ、相澤」
て!アカンアカン!
ギャグじゃないって
「なあなあなあなあなあ」
「うるさいわ、伊瀬千紘」
「協力って何してくれる?」
「………」
ちなみに今は基礎現代文。
相澤とは前後の席なんです
「ん~例えば…遊ぶとか」
「!えっ堂林君の私服!」
「誘わんわ!間に受けるな」
「…相澤って最初とキャラ違うよな」
「初対面は優しくだろ」
「うっわ、嫌われるタイプじゃ!」
「お前いっぺん口縫ったろか??」
「逆に縫い返すぞ、てか頭邪魔!」
「った!チョップすんな!」
「はいはい、相澤君静かにね!」
「…うっす」
「…ぷっ怒られてやんの、ばか」
「っち!むかつく奴やな、伊瀬」
こんな悪口ばっかり投げ捨ててると
あっという間に時間は過ぎて早くも
放課後になった。
――――――――――…
「千紘また明日、ばいばい」
「うん、ばいばい」
ふぅと溜め息をつき教科書を
かばんに入れようとしたとき
聞き覚えのある声が隣のくみ
から聞こえてきた。
「堂林君!」
「…きのし、たさん?」
「名前覚えてくれてたんだ!」
「(…えっ!何でふたりが…)」
「私どうしても伝えたいことがあって」
「…伝えたいこと?俺にっ」
堂林はえっと驚きながらも
有香の顔を見る。
千紘はというと動揺して席から
立てない状態だ。
「(ど、ばやしく、ん)」
心臓にナイフが突き刺さるように
チクチクと痛む。
「(堂林君の好きな人が木下さん)」
「(だったとしたらふたりは両…)」
がたっ
「!」「?!」
「あ、あ…ごっごめ…出て行くな、」
「伊瀬さん…」
「ほ、ほんまにごめっ、ばいばい」
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