夏、青春



後ろから「伊瀬さん!」って
堂林君の声が聞こえたけど、
今はそれどころじゃなかった
涙がね、涙がとまらない…っ


「…止まってよっ」ぽた ぽた


一向に止まる気配のない私の涙
一生懸命に止めようとするけど
とまらないっとまらないよっ!


「どばや…し、く」


何で?気にせんって決めたで!
頑張るって堂林君に好きになっ
てもらうように努力しようって
決めたばっかりなのに…なんで


「…伊瀬?」


びくっ!肩が震える…っ
堂林君の声じゃないことは
わかった。


「…ど、どしたん?相澤“君”」


泣いてるのがバレないように
必死に笑顔をつくって相澤君
のほうに振り向く。


「…無理すんな」
「…な、なんのこと?」
「…無理すんな!」
「…やめてよ、何が言いたいん?」


うそ、本当はわかっとる


「俺さっき見たよ…」
「?」
「まさかとは思ったけど…」
「やめて、やめて、やめ…」
「祥太と中山さん抱き合ってた」
「…っ!うわあああんっ!」


ためてた涙が一気に溢れた。










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