夏、青春




「(…可愛い子やし)」
「うっわあ、姫系でぇ(笑)な、千紘」
「…可愛いなあ、確かに」


白い綺麗な肌に大きな瞳、
肩ぐらいまでの髪は少し巻かれている。
男子は「うっわあ、可愛いなあ」と
女子は「モデルみたいやし…」と、
次々とその子を褒めるような言葉を
言った。


「自己紹介するか?」
「木内有香です。よろしくお願いします」「じゃあ木内さんの席は…」
「はい」
「堂林の隣でえぇか」


「…えっ(嘘!堂林君の隣~っ!!)」
「うっわあ、千紘ドンマイ(ボソ)」
「ドンマイ違うしなあ~!」
「まあいけるだろう~彼氏おりそうやし」「(堂林君~!)」


千紘は机に顔を伏せた。
友達はそれを見て「好きやな~」と
千紘に聞こえるように呟いた。

───────…


「堂林君ですか?」
「お?おぉ!誰?」
「あ、木内っていいますっ」
「標準語やし!よろしく!」
「よろしくお願いします。」


堂林は漫画を読んでいたため
有香の話などいっさい聞いて
いなかった。


「俺この学校のこと知らんけん」
「…?」
「こいつに聞いてな」
「あ、あはは、中山ってゆうんよ」
「木内さん好みらしいけん」
「はっ?ほんなん言うてないぞ!」
「ははは、俺知らん」
「…っ」




堂林は空笑いしながら席を立ち
クラスの前で待っていた野球部
の友達の元へと歩いていった。





「─…ねぇ、中山君っ」
「は、はい?」











「─…一目惚れって信じる?」









千紘は嫌な予感がした。
「なんか嫌なことおこりそう…」
「え?何か言うた?」
「…何もないよ、移動教室行こっ」
「うん!」









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