無気力LoveStory
*
「あら。今日は出るんだ?」
「…数学ですから」
わざとらしく冷ややかな表情を作って麗奈が言う。
あたしが目を逸らすと、麗奈はため息を零した。
「全く、王子様も考えものだわ」
そう言う麗奈に目を向けると、何か考えてるような瞳で、あたしを見つめていた。
「――…あのさー」
しばらくして、麗奈が口を開く。
「灰音がものすごく喜ぶような話題があるんだよね」
「へ?」
急に言ったわりには変な言葉で、間の抜けた声をだしてしまった。
喜ぶような話題?
「でもなー、九条先輩がその様子だと…」
って、なんでそこで九条先輩が出てくるのよ。
けれどそう言ったっきり何も言わなくなって、
中途半端な言葉が、授業よりも気になる結果になってしまった。