無気力LoveStory



「あら。今日は出るんだ?」

「…数学ですから」

わざとらしく冷ややかな表情を作って麗奈が言う。

あたしが目を逸らすと、麗奈はため息を零した。

「全く、王子様も考えものだわ」

そう言う麗奈に目を向けると、何か考えてるような瞳で、あたしを見つめていた。


「――…あのさー」

しばらくして、麗奈が口を開く。

「灰音がものすごく喜ぶような話題があるんだよね」

「へ?」

急に言ったわりには変な言葉で、間の抜けた声をだしてしまった。

喜ぶような話題?


「でもなー、九条先輩がその様子だと…」
って、なんでそこで九条先輩が出てくるのよ。


けれどそう言ったっきり何も言わなくなって、
中途半端な言葉が、授業よりも気になる結果になってしまった。



< 21 / 60 >

この作品をシェア

pagetop