無気力LoveStory
……重すぎる。
地図を持って階段を上りながら、いよいよ心が折れそうになった。
一段一段、ゆっくり上ってみると、道のりの長さに嫌になる。
だいたい女にこんなことやらせること自体が間違ってるんじゃないか。
そんなこと考えながらため息を零したからか、足が気持ち悪いくらいぐにゃりとバランスを崩した。
ふわっと、スローモーションで落ちる感覚がして。
ぶつかりそうだと思う前に、力強い腕に支えられる。
「――…っぶね」
え、この声って。
「ゆ、佑耶君…」
すっぽりと腕におさまりながら振り返ると、ついこの間失恋したばかりの佑耶君がいた。
「七瀬ってさー、危なっかしいよね、見た目と違って」
口の端でニヤリと笑いながらも、ちゃんと落とした地図を拾ってくれる。
その優しさがモテるわけで。
あたしもその優しさに、心臓をもっていかれた。
「こんなとこで考え事してたら、前見えないでしょ?」
「え、あ、まあそうなんだけど。……ありがと」
「どういたしまして」
ニヤリ、という笑いを、ニカッとした笑いに変えて、頭を軽く撫でられる。