無気力LoveStory
「これどこに運ぶわけ?」
「教室」
「きっついねー」
そんなことをいいながら、ヒョイッと軽々持ち上げて歩き出した。
……え、え?
「運んでくれるの?」
「七瀬が嫌じゃなければ。手伝うのは紳士の役目ですから」
嫌なわけないけど!
急激に顔に熱が集まって、気づかれないようにブンブンと首を横に振った。
「ありがとう!」
だから、佑耶君はモテるんだよ。
なんだか満たされたような気分になって、静かな廊下を歩く。
「へえ…」
佑耶君の優しさに感動すら覚えていたあたしは、
空き教室の扉が微妙に開いていたことに気付かなかった。
もちろんそこで、
ミルクティー色の髪から覗く小さな顔を、不機嫌そうに歪ませていた青年のことも。