無気力LoveStory
「え、ちょ、ちょっと待って!」
そういえばプリント運んでる最中だった、と歩き出したとき、先輩の声が飛んでくる。
眉間に皺を寄せながら振り向けば、なぜか耳が赤い先輩がちょうど3メートル程先まで近づいてきていた。
「…なんか用ですか」
「え。いや、なんていうか、ね?」
ね?じゃなくて。
一度大きな溜息をしてから、また先輩に近づく、と。
「うわっ、それ以上は近づいちゃダメっ!」
両手をまっすぐ伸ばして制止された。
…はあ?
「それ以上は近づかないで、できればこっちも見ないで、ちょっと話聞いてくれるかな?」
目をいろんな方向に泳がせながら、ぎこちない笑顔をつくって先輩は言葉を紡ぐ。
また、はあ?って返してやろうかと思ったけれど、
キスした理由とか聞いてみたい気持ちが半分、ムカつく気持ちが半分で、結局そっぽを向いてうなずいた。