無気力LoveStory
浴衣なんてものは、一年に一度着ればいい方で。
だから用意するのに3時間はかかる。
「ギリッギリなんだけど?」
眉を吊り上げてあたしを見てくる麗奈に、あははと笑ってごまかした。
「あんたは待ち合わせの少し前に、健気に来て待ってようっていう気はないわけ?」
たしかに最後になったけど、待ち合わせに遅れたわけじゃないのに。
女の子としての全てをいつも心得てる麗奈に言われちゃあ、反論できない。
「まあまあ、それより早くお祭り行かない?」
口を尖らせるあたしと、不機嫌な麗奈を可笑しそうに見つめながら、佑耶君がいった。
実際何がそんなに面白かったかはわからないけど、それでも佑耶君はずっとクスクスと笑っている。
麗奈と圭介君、あたしと佑耶君の順に綺麗に2列に並びながら。
「麗奈ちゃんてさ、顔と中身のギャップが激しいよなあ」
前でイチャイチャしている二人に聞こえないように、佑耶君が言った。
「やっぱり?可愛い顔して言うことキツイんだよ」
「だよな。でも圭介はそこに惚れたんだって」
圭介君…なんて物好きな…。
思わずそんなことを思ってしまったのは、内緒にしておかなきゃいけない。