無気力LoveStory


「おー、先輩」

その声に振り返った佑耶君につられてあたしも振り向く。

「スゲー可愛い子連れてんなあ」

彼女?とからかうその先輩を佑耶君がやんわりと否定している間、あたしはその後ろから目が離せなかった。

ミルクティー色の髪から覗く、小さな顔。

「く、九条先輩…」

さっきのさっきまで話をしていた、先輩がいた。

「あれ?知り合い?」

「あ、え…
「ちょっとね」

慌てて返事を探したあたしを遮って、九条先輩が笑顔で言う。


「へぇ、意外。じゃあ一緒に回る?」

「「は?」」

先輩の友達の呑気な提案に、あたしと先輩の呆気にとられた声が重なった。

「佑耶と付き合ってるわけでもないんでしょ?じゃあよくね?」

「あ、それは、そうなんですけど…」

まだ他にも連れが…と思って周りを見渡すけど、人だらけで麗奈達の姿がいつの間にか見当たらない。

「圭介達なら、とっくに逸れたよ?」

「うそ…」

のんびりな口調であたしの心を見透かしたように佑耶君が言った。

「じゃあいいでしょ」

「俺はいいっすよー」

ニッコリと笑いながらすでに佑耶君は返事をしている。

ってちょっと待ってよ!

「よし、じゃあそういうことで」

「ええ、ちょ…
「俺は嫌だからね」

またもや先輩が、あたしの声を遮った。



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