無気力LoveStory
「え、ちょっ、なんの罰ゲーム!?」
「失礼なこと言わないでください!」
後ろでわーわー騒いでる顔は見えないけど、焦ったような声でなんとも失礼な言葉を紡ぐ人、若干一名。
理由はよくわからない。
ただ先輩の腕を無理矢理引っ張って人ごみの間を進むから、転びそうにでもなったんじゃないだろうか。
「この辺なら、わかりやすいんじゃないですか?」
「……わかりやすくても、絶対無理だし」
まーだ後ろでブツブツいってる。
いい加減呆れて睨みつけると、珍しく向こうもまっすぐ睨み返してきた。
「な、なんですか」
最近目を逸らされてばっかりだから、たまには目を合わせてほしいと思ってたのは事実。
だけどいざ目があってしまうと、その澄んだ瞳に圧されて何も言えなくなっちゃう。
「別に、なんにもない」
ぼそっと呟いて瞳が逸らされた。
やっぱり先輩らしくない。
あたしがこの人のことを全て知ってるわけじゃないけれど、
少なくともこんなふうに表情をなくして話す人じゃない。
そこまで二人になるのが嫌なんだ、と心の奥でモヤモヤが広がった。