無気力LoveStory
「…あ。」
ふと見知った人影が見えて、小さく声をあげた。
「なに?」
聞こえないくらいの声だったと思ったのに、先輩にはしっかり届いていて、怪訝そうな声が返ってきた。
「や、あそこにいるの、佑耶君じゃないですか?」
「……」
無視?
せっかく友達を見つけたから教えたのに、そういう態度はなに?
つくづく変な人だと思ってしまう。
「合流しましょうか」
「…」
あたしと二人なのが嫌なはずなのに、いざとなったら沈黙を決め込む。
そんな態度をされて、わけがわからないと思いながらも、これじゃあラチがあかない。
とりあえずあたしが歩き出せばついてくるかな、なんて思って足を動かした。
「え、ちょ…」
一歩踏み出した、時。
左の手を掴まれたと思ったら、グイッと引っ張られて。
バランスを崩して後ろに倒れ込む。