無気力LoveStory
「恋愛感情ありません、とか安心させておいて、実は好きでしたっていうフェイント仕掛けようとしてるわけじゃなくて?」
「だから、違いますってば」
心の底から疑ってます!オーラを出している先輩に、思わず笑ってしまう。
あたしが好きなのは佑耶君じゃなくて。
「あたし、九条先輩のことが好きなんだと思います」
「九条?……九条?え、誰それ?え、……俺!?」
反射的に先輩は腕を離した。
片方の手の甲を口元に運んで、目を見開きながら慌てる。
その様子はおかしくて笑えてしまったけれど、やっぱり離された腕は寂しかった。
一気に熱が冷めたみたいに、体温が戻る。
やっぱり、近くにいたい
なんて今まで感じたこともなかったような感情を強く感じて、少しだけ戸惑った。
「お、俺のことなの!?え、くじょうかなと、とかじゃなくて!?」
「だれですかそれは。九条彼方先輩、ですけど」
こっちだって緊張してるのに、先輩の慌て様には敵わない。