無気力LoveStory
「俺の必死の努力も知らないで、そんなこと言っちゃってさ。俺、草食ぽいって言われるけど、健全な男の子なのに!」
話してるうちに気を抜いたのか、あたしの頭を押さえつけていた手が離れた。
それをいいことに、パッと顔をあげる。
ああ、たしかに見た目も、普段のローテンポな声も、草食っぽいかもしれない。
なんて呑気に納得してしまって、無意識のうちに、耳が真っ赤になってる先輩の顔をジロジロと見つめていた。
「っ、」
すると、細いのにゴツゴツした手のひらが目の上に壁となって視界を覆う。
「ちょ、先輩。見えないんですけど」
「うるさい。見なくてよろしい」
そこだけ微妙に先生口調になるから、あたしは小さく息をはいた。
「……キス、してもいいですよ」
言ってるうちに恥ずかしくなって、語尾がどんどん小さくなる。
って、してもいいってなんて上目線なんだろう。
や、しなくてもいいって気持ちも入ってるから、そういうしかなかったんだけど。
「、へ!?」
「だからっ!キスしても、いいです、よ」
顔に熱が急速に集まってるのがわかる。