氷の女神
「おまえ今、ホッとしただろ?」

「いえ、そんな事は…」

「悪い事は言わない。彼女に変な気は起こすな」

『それは俺の勝手でしょ?』と思ったが、口には出さなかった。

「彼女はあんなだし、おまえよりだいぶ年上だしな」

「いくつなんですか?」

「俺の三つ上だから、今年で28だろう」

「僕の四つ上ですか…」

そのぐらいの差なら…

「『そのぐらいの差なら、なんとかなる』って、思っただろ?」

う、この人何気に鋭いなあ。

「彼女は、社長の女なんだ」
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