氷の女神
「田中さん、もしかして主任を…」

「ああ、好きだよ。俺も男だし、あれだけの美人だしな。彼女を嫌いな奴なんか、いないんじゃないか?

彼女には何か、辛い過去があるんじゃないかと思うんだ。その苦しみから救ってやりたいが、俺なんかじゃ無理なんだ」

「救えるのは社長ですか?」

「そうなるかなあ…」

「それは違うと思います」

「と言うと?」

「いくら社長が綾乃さんに優しくても、いくら綾乃さんが社長に心を開いても、所詮は不倫じゃないですか!
それで綾乃さんが幸せになれるって、俺には思えません」

「確かにそうなんだけどな…」

「なんか俺、悔しくなってきた」

「おいおい、変な事考えるなよな。主任を泣かせたら俺が、いや開発課の全員がただじゃ置かないからな。
それだけは覚えておいてくれよ」
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