氷の女神
「綾乃さん、しっかりしてください」

「里中君…」

「顔が真っ赤じゃないですか!」

綾乃さんのオデコに手を当てると、すごい熱さだった。

「熱がすごいですよ。病院へ行きましょう?」

「病院は嫌。家に帰りたい」

「お医者さんに診てもらった方がいいですよ」

「家に帰りたいの。お願い…」

「分かりました」

タクシーを停め、綾乃さんを乗せて俺も乗り込んだ。

綾乃さんから住所とマンション名を聞き、運転手に行き先を告げた。
< 36 / 83 >

この作品をシェア

pagetop