氷の女神
さほど時間は掛からず、綾乃さんのマンションに着いた。

綾乃さんは歩くのもままらないので、俺は綾乃さんの脇に手を入れて抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこ。

「はっ。里中君」

「落ちないように、僕の首に掴まってください」

「風邪が伝っちゃう」

「構いません。さあ、早く」

綾乃さんは遠慮がちに俺の首に腕を回した。

綾乃さんの甘くて熱い息が俺の顔にかかり、胸がドキドキした。
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