氷の女神
「東山君、今日からここで働く事になった里中慎一君だ。彼に仕事を教えてやってくれ。席はちょうど空いている君の隣でいいよな?」

「………」

「よし」

え? 『よし』って、彼女は何も返事しなかったよな?

俺としてはこんな美人の隣はラッキーだけど、彼女は嫌がってるんじゃないのか?

「こちらは主任の東山綾乃君だ。少し無口だが、開発のスキルは非常に高いんだ。君も彼女に習い、スキルを上げてくれたまえ」

「はい、よろしくお願いします」

俺が綾乃さんにお辞儀すると、綾乃さんは僅かに頭を下げたように見えた。見間違いかな?

「よし。では後は頼んだぞ、東山君」

と課長は満足げなので、見間違いじゃなかったんだろう。

綾乃さんとのコミュニケーションは、難しそうだなあ。
< 4 / 83 >

この作品をシェア

pagetop