氷の女神
「ん………」

「綾乃さん、辛いよね?」

綾乃さんは汗をびっしょりかいて、苦しそうに息をしている。

「汗が体温を下げてくれるから、辛いけど、がんばってね?」

「いや、やめて!」

え? 俺?

などと一瞬ドキッとしたが、綾乃さんは嫌な夢を見ているようだ。

「こっちに来ないで。ぶたないで」

綾乃さんは体を丸め、子供のように泣きだした。

「綾乃さん、どうしたの? 綾乃さん、それは夢なんだよ。誰も綾乃さんをぶったりしないよ。綾乃さん!」
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