氷の女神
「里中君は、綾乃ちゃんが好きなの?」

「はい。大好きです!」

「まあ、正直なのね。綾乃ちゃんは?」

「私も、里中君が好き」

顔を見なくても、綾乃さんが顔を赤らめたのが分かった。

「おめでとう、綾乃ちゃん!
里中君、あなた凄いわ」

「いえ、それほどでも…」

「ううん、凄いわ。綾乃ちゃんが『氷の女神』って呼ばれてるのは知ってるでしょ?」

「はい」

「あなたはその氷を、解かしてくれたのよ」

「葉子ちゃん、ありがとう」

「綾乃ちゃん、よかったね」

二人は目に涙を溜めて、見詰め合い、俺は……リアクションに困っていた。
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