氷の女神
「とにかく、綾乃ちゃんはすっごく純真な子なんだから、気を付けてね」

「はい。肝に銘じます…」



それから数週間が過ぎた。

綾乃さんとの関係は、すこぶる順調。
会社の帰りに綾乃さんのマンションに寄り、夕飯をご馳走になって帰るのが日課になっている。

キスから先へは未だに進んでいないが、チャンスがあれば、そろそろいいかな、と思っていた。

そのチャンスが、ついに廻って来たようだ。

綾乃さんの部屋がいつも綺麗に整頓されている、という話から、俺の部屋は汚いという話になり、それじゃあ、綾乃さんが俺の部屋の掃除を手伝ってくれて、ついでにご飯も作ってくれる、という話になった。

雰囲気次第では、綾乃さんと一線を越えられるんじゃないかなと、俺は密かに期待していた。
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