氷の女神
俺は綾乃さんの、白くて細い指に見とれていた。

爪は綺麗に切り揃えられ、薄いピンクのマニキュアが塗られている。

俺はその手をギュッと握り絞めたい衝動に駆られた。

「あっち」

「え? あ、はい。あれを机に乗せるんですね?」

綾乃さんが僅かに頷いた。

綾乃さんが指差していた先には、1セットのパソコンがあった。俺用なのだろう。

腕まくりしてバソコンを机に乗せると、綾乃さんから手順書を渡された。それを読んで、自分でセットアップをしろ、という事だろう。

フーっと息を吐き、左を見ると、田中先輩がニタニタしながら俺を見ていた。
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