氷の女神
「綾乃を頼む」

「はい。必ず幸せにします」

俺は、綾乃さんと同じ色をした、社長の目を真っすぐに見て言った。

「綾乃、幸せになれよ」

「はい、お父さん」



「綾乃さん、めちゃくちゃ綺麗ですよ」

「里中君、じゃなかった慎一さんも、とっても素敵よ」



神父さんの前で、俺達は誓いのキスをした。

綾乃さんの柔らかな唇が愛おしくて離れ難く、神父さんの咳ばらいが聞こえるまでキスを止められなかった。


「くそ〜、羨ましい!」

最前列にいる田中さんだ。


式の後の恒例のブーケトス。

「主任〜、こっちにお願いしま〜す」

「綾乃〜、こっちよ〜」

「綾ちゃん、私にちょうだい!」

いやはや、すごい盛り上がりだ。


「行くわよ〜。えい!」
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