ボーダー
自覚
語りと回想
オレの名前は御劔 優作《みつるぎ ゆうさく》 。
皆からは『優』と呼ばれていることが多い。
しかし、ごく一部、『ミツ』と呼ぶ奴もいる。
そのうちの1人が、今は小学3年生の娘、優美《ゆうみ》とプールで遊んでいる女性。
幼なじみで、今は愛する妻の、華恵《はなえ》。
皆からは『ハナ』と呼ばれている。
スタイルも良く、可愛い。
3年前にもう1人、娘の優華《ゆうか》を産んでいるのだが、産後にもほんの少し体型が崩れた程度で、割と早く元に戻った。
産後だと、一見しただけでは分からない。
オレのことを『ミツ』と呼ぶ幼なじみは、もう1人いる。
宝月 蓮太郎《ほうづき れんたろう》。
カガク捜査官になるのが夢だった。
実際に両親を交通事故で亡くした後5年間、アメリカでカガク捜査を学んでいた。
そこでカガク捜査の術を身に付け、オレらが高校の入学式を迎える春休みに日本に帰国した。いわゆる"帰国子女"だ。
だから、英語はお手の物。
旅行のチェックインのときも、流暢な英語を話していた。
皆からは『レン』と呼ばれている。
もっとも、レンの妻の冥《めい》は、アメリカ生まれアメリカ育ちだから、英語はお手の物なのだが。
オレらは今、グアムにいる。
滞在先は、別荘だ。
なぜ別荘にいるのかは、おいおい説明することにしよう。
温水プールで遊んでいるハナやレンの家族。
毎年、オレたちの友人夫婦と、その子供たちも引き連れて、夏休みにはバカンスを楽しむことにしているのだ。
仕事の都合で、参加できない人たちもいるが。
オレたちも、何年か連続で参加は出来ていなかった。
仕事が激務だったせいなのだが。
自分の愛しい妻が、童心に返って、温水プールで自分の子供と一緒に泳いだり、はしゃいでいる姿が、愛らしかった。
「ミツさ……
いくら可愛いからって、
見とれんなよ?
オレの大事な奥さんに。」
「分かってる。
奥さんの溺愛ぶりは、お前が高校の頃からよく知ってるからな。
その台詞、そっくりそのまま、レンに返すとしよう。
オレはもとより、ハナしか見てないがな。
あと、ハナと同じくらい大事な優美と優華だ。
優華は、今ごろ帳や浅川家、矢榛家の部屋の向かいにある、チャイルドマインダー兼保育士の望月さんのところにいる。」
グアムの雄大な自然を目の前にして、こんな会話しか出来ないオレとレン。
久しぶりに会ってこんな会話しかできないことに、懐かしいような、情けないような感情に駆られて、お互いに苦笑いをこぼした。
幼少期から学生の頃は使えていた特殊能力も、今は使えなくなっていて、光陰矢の如し、ということを身にしみて感じる。
もう、オレたちもアラサーだ。
皆からは『優』と呼ばれていることが多い。
しかし、ごく一部、『ミツ』と呼ぶ奴もいる。
そのうちの1人が、今は小学3年生の娘、優美《ゆうみ》とプールで遊んでいる女性。
幼なじみで、今は愛する妻の、華恵《はなえ》。
皆からは『ハナ』と呼ばれている。
スタイルも良く、可愛い。
3年前にもう1人、娘の優華《ゆうか》を産んでいるのだが、産後にもほんの少し体型が崩れた程度で、割と早く元に戻った。
産後だと、一見しただけでは分からない。
オレのことを『ミツ』と呼ぶ幼なじみは、もう1人いる。
宝月 蓮太郎《ほうづき れんたろう》。
カガク捜査官になるのが夢だった。
実際に両親を交通事故で亡くした後5年間、アメリカでカガク捜査を学んでいた。
そこでカガク捜査の術を身に付け、オレらが高校の入学式を迎える春休みに日本に帰国した。いわゆる"帰国子女"だ。
だから、英語はお手の物。
旅行のチェックインのときも、流暢な英語を話していた。
皆からは『レン』と呼ばれている。
もっとも、レンの妻の冥《めい》は、アメリカ生まれアメリカ育ちだから、英語はお手の物なのだが。
オレらは今、グアムにいる。
滞在先は、別荘だ。
なぜ別荘にいるのかは、おいおい説明することにしよう。
温水プールで遊んでいるハナやレンの家族。
毎年、オレたちの友人夫婦と、その子供たちも引き連れて、夏休みにはバカンスを楽しむことにしているのだ。
仕事の都合で、参加できない人たちもいるが。
オレたちも、何年か連続で参加は出来ていなかった。
仕事が激務だったせいなのだが。
自分の愛しい妻が、童心に返って、温水プールで自分の子供と一緒に泳いだり、はしゃいでいる姿が、愛らしかった。
「ミツさ……
いくら可愛いからって、
見とれんなよ?
オレの大事な奥さんに。」
「分かってる。
奥さんの溺愛ぶりは、お前が高校の頃からよく知ってるからな。
その台詞、そっくりそのまま、レンに返すとしよう。
オレはもとより、ハナしか見てないがな。
あと、ハナと同じくらい大事な優美と優華だ。
優華は、今ごろ帳や浅川家、矢榛家の部屋の向かいにある、チャイルドマインダー兼保育士の望月さんのところにいる。」
グアムの雄大な自然を目の前にして、こんな会話しか出来ないオレとレン。
久しぶりに会ってこんな会話しかできないことに、懐かしいような、情けないような感情に駆られて、お互いに苦笑いをこぼした。
幼少期から学生の頃は使えていた特殊能力も、今は使えなくなっていて、光陰矢の如し、ということを身にしみて感じる。
もう、オレたちもアラサーだ。
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