ボーダー
<レンside>
……今日で、とりあえず日本とはお別れだ。
エージェントルームの皆が、オレのためにお別れ会を開いてくれた。
その席で色々なプレゼントをもらった。
アメリカでの勉強漬けの毎日に役立ちそうなものばかりだ。
そんな中、オレはミツに声を掛けて、部屋を出るよう促す。
ミツにだけは、言わなきゃだから。
オレの気持ちに気付かせてくれたんだからさ。
店内の通路へ出たオレは、部屋から少し離れた場所で壁にもたれて、言った。
「オレ、ハナのこと本気で好きになったから。」
すると、気付くのが遅いとでも言うような口調で返された。
「修行の前のミツの台詞でうっすら気付いてたけどさ、病院にいながら考えていたら、自覚したよ。」
……まさか、病院で泣いてるハナを抱き寄せてたの、オレに気持ちを自覚させるためだったのかよ。
オレ、めっちゃイラついたんだからな?
ホントにドSだな、ミツは。
そのおかげで、オレは自分の気持ちを自覚することが出来たわけだから、まぁいいか。
とりあえずオレは片口角を上げて、オレがアメリカにいる間にハナに手を出すなよって言ってやった。
出さない、って言ってたけど、どうだかな。
オレは、早くて日本に帰るのは3年後になる。
その頃には、今も少し突き出ている胸は、より大きさを増して大人の女に近づいている、はずだ。
その頃に、ミツが欲情して手を出さない保証はないのだ。
まぁ、未来のことはどうなるか、誰にも分からないのだ。
今から考えても仕方がない。
「レン。
オレのことは気にせず、向こうでいいカガク捜査官になるんだな。」
「わかってるって。」
オレとミツは固く握手を交わして、部屋に戻った。
お別れ会を終えた一行は、エージェントルームに泊まった。
そして、深夜3時前に伊達さんが運転するの車で成田空港へと向かった。
飛行機の搭乗時刻は5時過ぎ。
30分も早く着いてしまった。
オレはミツに初日の出来事で迷惑をかけたことを謝った。
アメリカでは無茶するなって返してくれて嬉しかった。
ハナをオレの代わりに守ってやってほしいってことと、ハナに手を出すなってこと。
昨日も言ったが、再度強調しておいた。
「3年後な。
元気でやれよ。
身長、オレのほうが高くても文句言うなよ!
暇なときは連絡する。
……またな。」
……ちゃんと、3年後に再会するのを固く誓った。
頑張るから、お前も頑張れよ?
ミツに別れを告げた後、オレはゲート近くにいるハナを発見。
ハナは泣くまいと、必死で下を向いていた。
「あと3年したら、ちょうど今ぐらいの時期には帰って来れるから。」
すると、首に違和感が。
首から下げられたのは、俺の誕生石をあしらったクローバーのネックレス。
オレが無事カガク捜査官になれるように、ってことか。
ありがとうと言おうとしたとき、空気を壊すようにアナウンスが流れた。
"5時5分発ANA707便でN・Yへご出発のお客様、まもなく搭乗手続きが始まります。"
放送、空気読んでくれ。
「時間でしょ?」
そう言って搭乗手続きの受付に向かうハナの手を強く引き、彼女をきつく抱きしめる。
病院のときはミツみたいにハナを抱きしめてやる権利なんてなかったけど、ハナを好きだって自覚したんだ。
今は……その権利があるはずだ。
だから最後にハナの温もりを感じたかった。
ハナのほうは、抵抗もせず、オレの胸に収まっている。
「寂しくなるなぁ。
元気でね?
レンも、大事な幼なじみだからさ。
向こうでちゃんとやれるか心配。
だけど、頑張るしかないよね、お互いに。
新しい環境になるけど、頑張ろ?
レンなら大丈夫だよ。」
その言葉を聞いたオレは、軽くハナの頬にキスをした。
「じゃあな」
顔を赤くしている彼女に向かって、口パクでそう告げる。
そして、俺は後ろではなく、まっすぐ前を向いて搭乗手続きの受付に向かった。
……今日で、とりあえず日本とはお別れだ。
エージェントルームの皆が、オレのためにお別れ会を開いてくれた。
その席で色々なプレゼントをもらった。
アメリカでの勉強漬けの毎日に役立ちそうなものばかりだ。
そんな中、オレはミツに声を掛けて、部屋を出るよう促す。
ミツにだけは、言わなきゃだから。
オレの気持ちに気付かせてくれたんだからさ。
店内の通路へ出たオレは、部屋から少し離れた場所で壁にもたれて、言った。
「オレ、ハナのこと本気で好きになったから。」
すると、気付くのが遅いとでも言うような口調で返された。
「修行の前のミツの台詞でうっすら気付いてたけどさ、病院にいながら考えていたら、自覚したよ。」
……まさか、病院で泣いてるハナを抱き寄せてたの、オレに気持ちを自覚させるためだったのかよ。
オレ、めっちゃイラついたんだからな?
ホントにドSだな、ミツは。
そのおかげで、オレは自分の気持ちを自覚することが出来たわけだから、まぁいいか。
とりあえずオレは片口角を上げて、オレがアメリカにいる間にハナに手を出すなよって言ってやった。
出さない、って言ってたけど、どうだかな。
オレは、早くて日本に帰るのは3年後になる。
その頃には、今も少し突き出ている胸は、より大きさを増して大人の女に近づいている、はずだ。
その頃に、ミツが欲情して手を出さない保証はないのだ。
まぁ、未来のことはどうなるか、誰にも分からないのだ。
今から考えても仕方がない。
「レン。
オレのことは気にせず、向こうでいいカガク捜査官になるんだな。」
「わかってるって。」
オレとミツは固く握手を交わして、部屋に戻った。
お別れ会を終えた一行は、エージェントルームに泊まった。
そして、深夜3時前に伊達さんが運転するの車で成田空港へと向かった。
飛行機の搭乗時刻は5時過ぎ。
30分も早く着いてしまった。
オレはミツに初日の出来事で迷惑をかけたことを謝った。
アメリカでは無茶するなって返してくれて嬉しかった。
ハナをオレの代わりに守ってやってほしいってことと、ハナに手を出すなってこと。
昨日も言ったが、再度強調しておいた。
「3年後な。
元気でやれよ。
身長、オレのほうが高くても文句言うなよ!
暇なときは連絡する。
……またな。」
……ちゃんと、3年後に再会するのを固く誓った。
頑張るから、お前も頑張れよ?
ミツに別れを告げた後、オレはゲート近くにいるハナを発見。
ハナは泣くまいと、必死で下を向いていた。
「あと3年したら、ちょうど今ぐらいの時期には帰って来れるから。」
すると、首に違和感が。
首から下げられたのは、俺の誕生石をあしらったクローバーのネックレス。
オレが無事カガク捜査官になれるように、ってことか。
ありがとうと言おうとしたとき、空気を壊すようにアナウンスが流れた。
"5時5分発ANA707便でN・Yへご出発のお客様、まもなく搭乗手続きが始まります。"
放送、空気読んでくれ。
「時間でしょ?」
そう言って搭乗手続きの受付に向かうハナの手を強く引き、彼女をきつく抱きしめる。
病院のときはミツみたいにハナを抱きしめてやる権利なんてなかったけど、ハナを好きだって自覚したんだ。
今は……その権利があるはずだ。
だから最後にハナの温もりを感じたかった。
ハナのほうは、抵抗もせず、オレの胸に収まっている。
「寂しくなるなぁ。
元気でね?
レンも、大事な幼なじみだからさ。
向こうでちゃんとやれるか心配。
だけど、頑張るしかないよね、お互いに。
新しい環境になるけど、頑張ろ?
レンなら大丈夫だよ。」
その言葉を聞いたオレは、軽くハナの頬にキスをした。
「じゃあな」
顔を赤くしている彼女に向かって、口パクでそう告げる。
そして、俺は後ろではなく、まっすぐ前を向いて搭乗手続きの受付に向かった。