ボーダー
再会
〈明日香side〉
……徹と離れてから、もう半年経つ。
っていっても、時間を見つけてしょっちゅうテレビ電話もしていた。
寂しいって気持ちは、そこまでない。
ちょっとしたドレスコードもクリアできるワンピースも詰めたし、可愛いルームウェアもスーツケースに入れた。
もちろん、勝負下着も。
電車を乗り継いで、空港に着く。
少しラウンジで休憩し、出国審査や身体検査を終えて、飛行機に乗り込んだ。
機内食はさほど美味しいとは思えなかったが、眠ったり、本を読んだり。
音楽を聴いたりして、長いフライト時間を過ごした。
……それから、7時間。
「やっと……着いた……」
7時間のフライト。脚が浮腫んで仕方がない。
トイレに入って、機内で使う荷物を入れたショルダーバッグから、袋を取り出して、着圧ストッキングからタイツに履き替える。
無事に入国審査を終えた。
ターンテーブルに荷物を取りに行く。
私は黒字にピンクのリボンがトレードマークののキャリーバッグだから目立つはずだ。
すぐにキャリーバッグを取って、パンプスのヒール音を響かせながら空港の出口に向かう。
すると、誰かに優しく肩を叩かれた。
振り向くと、ずっとずっと会いたかった、私の愛しい人がすでにそこにいた。
「……徹!」
「明日香!」
空港内の人たちがチラリと私達の方に目線をやるのも気にせず、キツく抱き合って何度もキスをする。
「明日香。向こうで何もなかったみたいだね。
兄さん、ちゃんと約束は守ってくれたわけだ。後でお礼言わなきゃな。
良かった、明日香が無事で。」
「……徹のほうこそ。
元気そうで良かった。」
「行くか、親父が車で外で待ってる。」
すると、トントン、と肩を叩かれた。
顔を上げると、見覚えのある目尻のシワに、少し白髪が混じり始めた頭髪。
よく見ると、制服の袖や帽子、肩に4本のラインが入っている。
機長の印だ。
「お客様、お忘れ物ですよ。」
機長自らが忘れ物を渡してくることはないのだが、なんだろう。
不思議そうにしていると、男の人が帽子を取った。
「お父さん!」
「全く、父親の顔を忘れるとは。
まぁ、今までは機長として世界中を飛び回っていて、あまり娘の成長を見られていなかった部分もあるから仕方がないが。
じゃあ、また後でな、明日香。」
私の頭を撫でたあと、徹に向かって歩み寄る。
「伊達くん、だね。
娘をよろしく。
詳しくは、娘に渡したウォークマンのケースに紙を挟んだ。それを見てくれ。」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。
お義父さん。」
何か、仲良くなってない?
「行くか、明日香。」
頭の中にたくさんのハテナマークが浮かぶ私を置いて、私の手をぎゅっと握って、車へと歩き出す。
少し歩く速度をゆっくりにしてくれるのは、パンプスを履いて花柄のミモレ丈スカートを履いている私への配慮なのか。
「元気だったか?明日香ちゃん!」
徹のお父さん。
私の義理の兄の父親でもある人だ。
「はい!
康介さんこそ、元気でしたか?」
「もちろんだ。」
普通にこうして、会話ができるのが、普通の家族みたいで、とても嬉しく感じた。
……徹と離れてから、もう半年経つ。
っていっても、時間を見つけてしょっちゅうテレビ電話もしていた。
寂しいって気持ちは、そこまでない。
ちょっとしたドレスコードもクリアできるワンピースも詰めたし、可愛いルームウェアもスーツケースに入れた。
もちろん、勝負下着も。
電車を乗り継いで、空港に着く。
少しラウンジで休憩し、出国審査や身体検査を終えて、飛行機に乗り込んだ。
機内食はさほど美味しいとは思えなかったが、眠ったり、本を読んだり。
音楽を聴いたりして、長いフライト時間を過ごした。
……それから、7時間。
「やっと……着いた……」
7時間のフライト。脚が浮腫んで仕方がない。
トイレに入って、機内で使う荷物を入れたショルダーバッグから、袋を取り出して、着圧ストッキングからタイツに履き替える。
無事に入国審査を終えた。
ターンテーブルに荷物を取りに行く。
私は黒字にピンクのリボンがトレードマークののキャリーバッグだから目立つはずだ。
すぐにキャリーバッグを取って、パンプスのヒール音を響かせながら空港の出口に向かう。
すると、誰かに優しく肩を叩かれた。
振り向くと、ずっとずっと会いたかった、私の愛しい人がすでにそこにいた。
「……徹!」
「明日香!」
空港内の人たちがチラリと私達の方に目線をやるのも気にせず、キツく抱き合って何度もキスをする。
「明日香。向こうで何もなかったみたいだね。
兄さん、ちゃんと約束は守ってくれたわけだ。後でお礼言わなきゃな。
良かった、明日香が無事で。」
「……徹のほうこそ。
元気そうで良かった。」
「行くか、親父が車で外で待ってる。」
すると、トントン、と肩を叩かれた。
顔を上げると、見覚えのある目尻のシワに、少し白髪が混じり始めた頭髪。
よく見ると、制服の袖や帽子、肩に4本のラインが入っている。
機長の印だ。
「お客様、お忘れ物ですよ。」
機長自らが忘れ物を渡してくることはないのだが、なんだろう。
不思議そうにしていると、男の人が帽子を取った。
「お父さん!」
「全く、父親の顔を忘れるとは。
まぁ、今までは機長として世界中を飛び回っていて、あまり娘の成長を見られていなかった部分もあるから仕方がないが。
じゃあ、また後でな、明日香。」
私の頭を撫でたあと、徹に向かって歩み寄る。
「伊達くん、だね。
娘をよろしく。
詳しくは、娘に渡したウォークマンのケースに紙を挟んだ。それを見てくれ。」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。
お義父さん。」
何か、仲良くなってない?
「行くか、明日香。」
頭の中にたくさんのハテナマークが浮かぶ私を置いて、私の手をぎゅっと握って、車へと歩き出す。
少し歩く速度をゆっくりにしてくれるのは、パンプスを履いて花柄のミモレ丈スカートを履いている私への配慮なのか。
「元気だったか?明日香ちゃん!」
徹のお父さん。
私の義理の兄の父親でもある人だ。
「はい!
康介さんこそ、元気でしたか?」
「もちろんだ。」
普通にこうして、会話ができるのが、普通の家族みたいで、とても嬉しく感じた。