ボーダー
目が覚めると、高い天井と豪華な照明が目に入る。
確か、式に呼びたい人をリストアップして、ドレスコードも考えていた。
それは覚えている。
書いている途中で、眠ってしまったらしい。
途中からは、徹の男性にしては珍しい、一画一画の止めはねはらいもしっかりと守られた字が並んでいた。
「徹、習字か何かやってた?」
「父親に言われて、中学生までな。
席次表もこれで作れるように、エージェントルームの部下に依頼しておいた。
早速準備するのはいいんだけど、楽しみにしてるのが伝わるから。
さっき、お義母さんが言ってたけど、最短でも今から1ヶ月後だよ?式できるの。
それまでに倒れられたり、風邪ひかれたりしたら困るわけ。
寝るならちゃんとベッドで寝な?」
「うん……」
「明日香、聞いて?
準備のことを考えるのもいいけど、お互いの仕事もあるだろ?明日香。
それで2足、3足のわらじ履いて、どちらかが疎かになったら目も当てられないだろ?
明日香は仕事できる子だから、両立出来ちゃうんだろうけど、無理はするなよ?
人に頼るの、明日香は下手だから。
何かあれば頼って?
SOSだけでもいいから、出してくれればそれでいいよ。
誰かしらがキャッチするから。
いいね?」
私としっかり目線を合わせて、言い聞かせるようにそう言ってくれた後、
ちゅ、とついばむようなキスをくれた。
「そのモコモコ、可愛いじゃん。」
私に覆いかぶさるように、再びキスの嵐を降らせる徹。
今してくれれば、夜はゆっくり眠れそう。
しかし、現実はそう甘くはない。
「夕食、ビュッフェ形式だってよ。
行くか?弟。」
康一郎お義兄さんからの呼び出しが。
「だってよ、どうする?明日香。」
確かに、少し重たいウェディングドレスを何着も着て、疲れた上にお腹も空いた。
「行こ!」
ビュッフェ形式のレストランでは和洋中の料理だけではなく、寿司やステーキもあった。
もちろん、デザートも豊富だ。
「ここなら、老若男女問わず、楽しんでくれそうですね!」
志穂ちゃんの言葉に頷きながら、好きなだけ食べる。
ビュッフェを楽しんでいる途中に、あるアイデアが思いついた。
旦那である徹には、お義兄さんと一瞬一緒の部屋になってもらって、志穂ちゃんと仕事の話をする。
その話し合いは一時間半ほど続いたのだが、
今度はプライベートな話を、たくさん志穂ちゃんと1階にある大浴場でした。
そこで、エージェントルームにいる、私を姉のように慕う、高校生のナナちゃんがスカウトされた芸能事務所について、調べてくれた志穂ちゃんにお礼を言った。
大浴場から部屋に戻った私をパジャマの上を着ていない旦那が出迎えた。
「明日香?おかえり。
いいお湯だったっしょ?
ちょっと、式の準備と仕事のことは頭から追い出そうか。
言ったよね?
夜は覚悟しろ、って。」
「あ、ちょ、とおる……っ」
ベッドに組み敷かれた後は、晴れて旦那となった徹に、骨の髄までたっぷり愛された。
翌朝。
エージェントルームのクリスマスパーティーの日。開始は夕方18:00らしい。
キャリーケースから、大事にしまったワンピースを取り出して、着る。
シアーな透け感は袖にあるだけで、光沢感は胸元にある。
すぐに肌が透けていると欲情しがちな旦那も、これなら文句を言わないだろう。
髪を高い位置で1つ結びにしたあと、お団子にして、揺れるゴールドのしずく型ピアスを着ける。
念入りにメイクをすると、お待たせ、と言ってにソファでコーヒーを飲んでいる徹の元に向かった。
「明日香?
オレは髪おろしてる明日香も好きだけど、結んでるともっと可愛いから好き。」
そう言って、うなじに軽くキスを落とした彼。
「あっ、くすぐったい……」
「明日香、朝からそんな声出していいの?
ほんとに、夜どうなっても知らないよ?」
私の手は、徹によって彼のズボンの真ん中の膨らみに誘導された。
「徹!もう!
寝不足なの誰のせいだと思ってるの?
見えないからいいけど、胸元に痕つけまくりでホント、信じらんない!」
「怒ってる奥さんは見たくないから、機嫌直して?
明日香が食べたいって言ってた、スイートポテト多めに買っておくから。
和菓子だから日保ちしないけど。」
「ん、それで許す。」
ちゅ、と徹の頬に唇を落としたあと、ノックの音と共に康一郎お義兄ちゃんと、志穂ちゃんが顔を見せた。
志穂さんは、ミディアムな髪をハーフアップにして、青い色のレースドレスを着ている。
「明日香さん、徹さん、お先です。」
「オレはやることあるから、先に行くぞ。
遅れるなよお前ら。
じゃ、会場でな。」
エージェントルームのクリスマスパーティーに行く前に、挙式で使う結婚指輪を見に行った。
なかなかに悩んだので、決めるのに時間がかかり、急いでエージェントルームに向かう。
パーティーでは、制服のハナやミツ、レンたちが水くさいだの、言ってくれればよかっただのと、徹にやいやい言っていた。
私はナナちゃんに、スカウトは安心して受けていい旨を伝える。
志穂さんも一緒に口添えすると、ナナちゃん本人は不安そうにしながらも、頑張ってみると笑顔を見せていた。
パーティーがお開きになる頃、徹が皆さんに報告があります!と口火を切った。
「挙式日はまだ未定ですが、私と明日香は本日役所に婚姻届を提出してきました!
苗字が同じだと紛らわしいので、職場では旧姓を使う予定ではいます。
今後とも、末永くよろしくお願いします!」
会場にいた皆から拍手が沸き起こった。
確か、式に呼びたい人をリストアップして、ドレスコードも考えていた。
それは覚えている。
書いている途中で、眠ってしまったらしい。
途中からは、徹の男性にしては珍しい、一画一画の止めはねはらいもしっかりと守られた字が並んでいた。
「徹、習字か何かやってた?」
「父親に言われて、中学生までな。
席次表もこれで作れるように、エージェントルームの部下に依頼しておいた。
早速準備するのはいいんだけど、楽しみにしてるのが伝わるから。
さっき、お義母さんが言ってたけど、最短でも今から1ヶ月後だよ?式できるの。
それまでに倒れられたり、風邪ひかれたりしたら困るわけ。
寝るならちゃんとベッドで寝な?」
「うん……」
「明日香、聞いて?
準備のことを考えるのもいいけど、お互いの仕事もあるだろ?明日香。
それで2足、3足のわらじ履いて、どちらかが疎かになったら目も当てられないだろ?
明日香は仕事できる子だから、両立出来ちゃうんだろうけど、無理はするなよ?
人に頼るの、明日香は下手だから。
何かあれば頼って?
SOSだけでもいいから、出してくれればそれでいいよ。
誰かしらがキャッチするから。
いいね?」
私としっかり目線を合わせて、言い聞かせるようにそう言ってくれた後、
ちゅ、とついばむようなキスをくれた。
「そのモコモコ、可愛いじゃん。」
私に覆いかぶさるように、再びキスの嵐を降らせる徹。
今してくれれば、夜はゆっくり眠れそう。
しかし、現実はそう甘くはない。
「夕食、ビュッフェ形式だってよ。
行くか?弟。」
康一郎お義兄さんからの呼び出しが。
「だってよ、どうする?明日香。」
確かに、少し重たいウェディングドレスを何着も着て、疲れた上にお腹も空いた。
「行こ!」
ビュッフェ形式のレストランでは和洋中の料理だけではなく、寿司やステーキもあった。
もちろん、デザートも豊富だ。
「ここなら、老若男女問わず、楽しんでくれそうですね!」
志穂ちゃんの言葉に頷きながら、好きなだけ食べる。
ビュッフェを楽しんでいる途中に、あるアイデアが思いついた。
旦那である徹には、お義兄さんと一瞬一緒の部屋になってもらって、志穂ちゃんと仕事の話をする。
その話し合いは一時間半ほど続いたのだが、
今度はプライベートな話を、たくさん志穂ちゃんと1階にある大浴場でした。
そこで、エージェントルームにいる、私を姉のように慕う、高校生のナナちゃんがスカウトされた芸能事務所について、調べてくれた志穂ちゃんにお礼を言った。
大浴場から部屋に戻った私をパジャマの上を着ていない旦那が出迎えた。
「明日香?おかえり。
いいお湯だったっしょ?
ちょっと、式の準備と仕事のことは頭から追い出そうか。
言ったよね?
夜は覚悟しろ、って。」
「あ、ちょ、とおる……っ」
ベッドに組み敷かれた後は、晴れて旦那となった徹に、骨の髄までたっぷり愛された。
翌朝。
エージェントルームのクリスマスパーティーの日。開始は夕方18:00らしい。
キャリーケースから、大事にしまったワンピースを取り出して、着る。
シアーな透け感は袖にあるだけで、光沢感は胸元にある。
すぐに肌が透けていると欲情しがちな旦那も、これなら文句を言わないだろう。
髪を高い位置で1つ結びにしたあと、お団子にして、揺れるゴールドのしずく型ピアスを着ける。
念入りにメイクをすると、お待たせ、と言ってにソファでコーヒーを飲んでいる徹の元に向かった。
「明日香?
オレは髪おろしてる明日香も好きだけど、結んでるともっと可愛いから好き。」
そう言って、うなじに軽くキスを落とした彼。
「あっ、くすぐったい……」
「明日香、朝からそんな声出していいの?
ほんとに、夜どうなっても知らないよ?」
私の手は、徹によって彼のズボンの真ん中の膨らみに誘導された。
「徹!もう!
寝不足なの誰のせいだと思ってるの?
見えないからいいけど、胸元に痕つけまくりでホント、信じらんない!」
「怒ってる奥さんは見たくないから、機嫌直して?
明日香が食べたいって言ってた、スイートポテト多めに買っておくから。
和菓子だから日保ちしないけど。」
「ん、それで許す。」
ちゅ、と徹の頬に唇を落としたあと、ノックの音と共に康一郎お義兄ちゃんと、志穂ちゃんが顔を見せた。
志穂さんは、ミディアムな髪をハーフアップにして、青い色のレースドレスを着ている。
「明日香さん、徹さん、お先です。」
「オレはやることあるから、先に行くぞ。
遅れるなよお前ら。
じゃ、会場でな。」
エージェントルームのクリスマスパーティーに行く前に、挙式で使う結婚指輪を見に行った。
なかなかに悩んだので、決めるのに時間がかかり、急いでエージェントルームに向かう。
パーティーでは、制服のハナやミツ、レンたちが水くさいだの、言ってくれればよかっただのと、徹にやいやい言っていた。
私はナナちゃんに、スカウトは安心して受けていい旨を伝える。
志穂さんも一緒に口添えすると、ナナちゃん本人は不安そうにしながらも、頑張ってみると笑顔を見せていた。
パーティーがお開きになる頃、徹が皆さんに報告があります!と口火を切った。
「挙式日はまだ未定ですが、私と明日香は本日役所に婚姻届を提出してきました!
苗字が同じだと紛らわしいので、職場では旧姓を使う予定ではいます。
今後とも、末永くよろしくお願いします!」
会場にいた皆から拍手が沸き起こった。