ボーダー
レンの実況がヒートアップするであろう、借り人競争が始まった。
『さて、始まりました、借り物ならぬ、借り人競争!
昨年は、お姫様抱っこをしながらゴールした選手もいましたね。
今年はどんなラブハプニングが見れるのか、楽しみにしましょう!
なお、放送席の横には、お題がOKか、判定するための人たちがいます。
その人たちが○の札を上げたら、ゴールに向かってくださいね!
✕の札が上がったら、もう一度やり直しです!
いかにして、やり直しを出さないかが勝敗のポイントです!』
煽るなぁ、レン。
『赤組、白組共に、選手が次々と紙を引いていきます!
引いた紙は、モニターで続々アップにされますので、そちらにもご注目ください!』
『白組の選手、身体が柔らかい人、という紙を引いたぞ!
誰を連れてくるのか?
2年7組、矢浪 友佳《やなみ ゆか》を連れてきたぞ!
彼女で大丈夫なのか?
判定は全員○!
180度の開脚も余裕だー!』
友佳、バスケ部の次期部長なのは知ってたけど身体が柔らかかったのは知らなかった。
白組がリードしている。
そこへ、和貴くんが愛実を連れて全速力で走ってきた。
『紙には、犬の写真を携帯の待受にしている人と書かれているようです!
合格です!
可愛いですね!
癒やされます!』
愛実の携帯の待受は、可愛い黒耳のチワワだった。
知らなければ、連れてこられないはずだ。
さては、和貴くん、知ってたの?
和貴くんの勢いに続こうと勢いづいたのか、赤組が、続々と人を連れてきている。
ミツは、護身術が使えそうな人、というお題で連れてこられ、簡単なものを披露していた。
バク転ができる人、というお題で、レンが連れて行かれていた。
マイクを放送席近くにいた部員に押し付けた。そして、赤組のためならと、レンが躊躇することなくバク転を披露した。
バク転をした後で走っても、息切れ一つしていなかったレン。
すごいなぁ。
赤組の応援席からは歓声が上がった。
レン、昨年の体育祭で走るの速いのは証明済みだからね。
アイドル、できるんじゃない?
『素晴らしいバク転でした!
判定も、文句なしの全員○の札!
お見事です!』
そして、赤組が勝った。
はからずも、実況のレンが全部いいところを持っていった、かに見えた。
レンが、横にいた和貴くんに、マイクを渡す。
『よく見つかりましたね、犬の写真を携帯の待受にしている人。
なかなかピンポイントで、限られた時間の中見つからないよね、って話してたんです。』
マイクを受け取った和貴くんが、マイクのスイッチを入れて話す。
「ちょっとハプニングがあって、さっき、連れてきたこの子を助けたんです。
助けてくれたお礼に何かしてほしい、と言ってくれたのに対して、まだ返答をしてませんでした。
この場を借りて言わせてください!
篠原 愛実さん!
友達からで構わないので、付き合ってほしいです!」
うわぁ、公開告白じゃん!青い春だなぁ。
マイクは、愛実に渡された。
愛実、こういうの苦手そう。
彼女は、なんの躊躇もなく言った。
「ちょっと公開告白はあり得ないな、と思いましたので、友達から始めたいと思います!
後で、連絡先教えて下さい!」
グラウンドが一気に笑いに包まれた。
体育祭は、去年と同じく、赤組の優勝で幕を閉じた。
レンが去年に引き続き、そして和貴くんも色別対抗リレーで他を引き離してゴールしたから。
愛実は、更衣室で制服に着替えた後、終わるのを待っていた和貴くんと帰っていった。
体育祭のグラウンドではああ言ってたけど、愛実の側も気があるんじゃないかな、と思った。
翌日は休みのため、体育祭のお疲れ様会をいつものメンバーで開催することになった。
麻紀と真くんが豪勢な手料理を振る舞ってくれて、それらに舌鼓を打った。
それから、難しくなってきた中間テストも終えて、何事もなく、過ごしていた。
……あの日が来るまでは。
『さて、始まりました、借り物ならぬ、借り人競争!
昨年は、お姫様抱っこをしながらゴールした選手もいましたね。
今年はどんなラブハプニングが見れるのか、楽しみにしましょう!
なお、放送席の横には、お題がOKか、判定するための人たちがいます。
その人たちが○の札を上げたら、ゴールに向かってくださいね!
✕の札が上がったら、もう一度やり直しです!
いかにして、やり直しを出さないかが勝敗のポイントです!』
煽るなぁ、レン。
『赤組、白組共に、選手が次々と紙を引いていきます!
引いた紙は、モニターで続々アップにされますので、そちらにもご注目ください!』
『白組の選手、身体が柔らかい人、という紙を引いたぞ!
誰を連れてくるのか?
2年7組、矢浪 友佳《やなみ ゆか》を連れてきたぞ!
彼女で大丈夫なのか?
判定は全員○!
180度の開脚も余裕だー!』
友佳、バスケ部の次期部長なのは知ってたけど身体が柔らかかったのは知らなかった。
白組がリードしている。
そこへ、和貴くんが愛実を連れて全速力で走ってきた。
『紙には、犬の写真を携帯の待受にしている人と書かれているようです!
合格です!
可愛いですね!
癒やされます!』
愛実の携帯の待受は、可愛い黒耳のチワワだった。
知らなければ、連れてこられないはずだ。
さては、和貴くん、知ってたの?
和貴くんの勢いに続こうと勢いづいたのか、赤組が、続々と人を連れてきている。
ミツは、護身術が使えそうな人、というお題で連れてこられ、簡単なものを披露していた。
バク転ができる人、というお題で、レンが連れて行かれていた。
マイクを放送席近くにいた部員に押し付けた。そして、赤組のためならと、レンが躊躇することなくバク転を披露した。
バク転をした後で走っても、息切れ一つしていなかったレン。
すごいなぁ。
赤組の応援席からは歓声が上がった。
レン、昨年の体育祭で走るの速いのは証明済みだからね。
アイドル、できるんじゃない?
『素晴らしいバク転でした!
判定も、文句なしの全員○の札!
お見事です!』
そして、赤組が勝った。
はからずも、実況のレンが全部いいところを持っていった、かに見えた。
レンが、横にいた和貴くんに、マイクを渡す。
『よく見つかりましたね、犬の写真を携帯の待受にしている人。
なかなかピンポイントで、限られた時間の中見つからないよね、って話してたんです。』
マイクを受け取った和貴くんが、マイクのスイッチを入れて話す。
「ちょっとハプニングがあって、さっき、連れてきたこの子を助けたんです。
助けてくれたお礼に何かしてほしい、と言ってくれたのに対して、まだ返答をしてませんでした。
この場を借りて言わせてください!
篠原 愛実さん!
友達からで構わないので、付き合ってほしいです!」
うわぁ、公開告白じゃん!青い春だなぁ。
マイクは、愛実に渡された。
愛実、こういうの苦手そう。
彼女は、なんの躊躇もなく言った。
「ちょっと公開告白はあり得ないな、と思いましたので、友達から始めたいと思います!
後で、連絡先教えて下さい!」
グラウンドが一気に笑いに包まれた。
体育祭は、去年と同じく、赤組の優勝で幕を閉じた。
レンが去年に引き続き、そして和貴くんも色別対抗リレーで他を引き離してゴールしたから。
愛実は、更衣室で制服に着替えた後、終わるのを待っていた和貴くんと帰っていった。
体育祭のグラウンドではああ言ってたけど、愛実の側も気があるんじゃないかな、と思った。
翌日は休みのため、体育祭のお疲れ様会をいつものメンバーで開催することになった。
麻紀と真くんが豪勢な手料理を振る舞ってくれて、それらに舌鼓を打った。
それから、難しくなってきた中間テストも終えて、何事もなく、過ごしていた。
……あの日が来るまでは。