ボーダー
〈レンside〉

「はい、完成よ。
お待たせしたわね。」

照れ隠しなのか、さらりと言うメイが、やけに可愛い。
そういえば、メイの手料理なんて食べるの、久しぶりだな。

「うん、美味いよ!
メイ、いい奥さんになれそ。」

「蓮太郎……褒めても何も出ないわよ?」

そう言いながらも、得意気な表情を浮かべる。
横顔が赤い気がするのは、奥さんって言ったから?
少なからず、意識してくれてる?
オレのこと。

お手製パスタを食べ終えた頃、村西さんが言った。

「オレ、夕食済んだら本部戻るな?
……だから後は、2人で思う存分イチャイチャしろ?」

村西さん、そんなこと言ってる場合なのかな。
一応、31歳だぜ?
彼女とかいる様子もないし、人の心配より自分の心配を……

村西さんのことを案じていると、ふと、肩に重みを感じた。
いつの間にか眠っていたらしいメイが、オレの肩に頭をもたせかけてきていたのだ。

……間近で見るメイの寝顔、天使みたいでホントに可愛いな…
穏やかに寝息を立てている様子が、彼女がオレに安心しきっている何よりの証拠だ。

微笑ましくその様子を見て、ふと気付いた。
薄いTシャツワンピース1枚って……いくら信頼できる男の前とはいえ、ヤバイだろ……
メイ、スタイルいいから身体のラインが出るんだよな……
無防備にも程があるって。

メイ、お前に少なからず好意を抱いている、年頃の男がすぐ横にいること、忘れてないか?

襲いたくなるのを、必死に堪える。

あんな目に遭ったばかりなのだ。
いくら好きでも、生半可な覚悟を決めないまま抱けない。

「ったく……風邪引くぞ?」

メイの身体を軽々と持ち上げて抱っこすると、メイの部屋へと連れていく。
こうしてメイをお姫様抱っこするの……何年ぶりだろ……

ってか、軽すぎだろ。
まともに飯食ってるのか?

「レン、いくら可愛いからって襲うなよ?」

「そ……そんなことしませんよ!
するように見えますか?
冗談でも怒りますよ?」

村西さんったら……そういう方向のことを考えやすい、盛りの高校生に向かってよくそんなこと言えるよな……

オレだってたまに理性ふっ飛びそうになるのを必死に抑えてるんだから……
< 145 / 360 >

この作品をシェア

pagetop