ボーダー

FBI本部

〈レンside〉

パチ……

カーテンから漏れる朝の光が眩しくて目を開けると、まだメイが襲いたくなるくらい可愛い顔をして寝ていた。

オレは、すぅ、と寝息をたてる彼女にそっと布団を掛け直してやる。
キャミソールから腹チラしていたのは、見なかったことにした。
彼女を起こさないようにそっとドアを開けて、着替えを持ってから外に出た。

脱衣所で着替えるついでに朝のせいか、元気な自分の息子を落ち着かせてやり、処理を終えてからリビングに向かった。

第一、朝のせいもあるが、腹チラして、無防備に寝ているほうが悪い。

襲ってくれと同義だからこそ、手を出さなかったことを褒めてほしいくらいだ。

ふと時計を見ると、只今の時刻は、7時30分。

……9時30分には本部に行っていたい。

逆算すると、今から朝飯作れば、ちょうどいいな。
そう思って、ご飯を炊く間、手際よく義理の母が作ってくれた味を再現するべく、お味噌汁の用意をする。
かつお粉を味噌に混ぜると風味が出ると聞いたことがあったので、それをやってみる。

……作ってはみたがなんか物足りない。
彩りが足りないのだろうか?
飯なんて、どうせお腹に入れば目の前からは消えるのだから、彩りなんてなくてもいいじゃないかとは思う。

すると、バタバタとやかましく階段を駆け下りてくる音が。
転ぶなよ、と思う。

「蓮太郎!」

「お。
おはよ。メイ。」

「『おはよ』じゃないでしょ!?
もう!勝手に部屋からいなくなって、どこに行ってたの?」

朝だから寝起きが悪いのか、半ば不機嫌な様子で言うメイ。
そんな彼女を横目で見ると、キャミソールにショートパンツという姿だ。

ってか、せっかく、つい先程自分で処理したばかりなのに、それを水の泡にするようなことはしないでほしい。

「何?
……オレがどっか行っちゃう!とか思ったの?
……可愛い。
オレは、脱衣場で着替えてただけだよ?
メイ、今の格好も可愛いんだけど、さすがに朝から目のやり場に困るから、着替えてくれば?」

うまく、自分で処理していたことは伏せる。
さすがに言えないしね?

まだ、そういう行為に抵抗があるであろうメイを抱かないためにしてるんだけど。

無理やりされても、トラウマを掘り返されて一番辛いのはメイだろうから。

「うん。じゃあ着替えてくるね。
あ、別に、さっきのは、蓮太郎のこと心配して言ったんじゃないからね?」

それだけを言って、照れている顔を隠すようにリビングを後にしたメイ。

可愛いな、本当に。

ミツがハナの可愛い姿を見るたびに「理性保たない」って言葉を発していた意味、今なら完璧に理解できる。
こういう気持ちだったんだな、アイツも。
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